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2013年1月 1日 (火)

「売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体」

「売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体」

 

「売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体」(徳間書店、三橋貴明、中野剛志、2012年2月、1400円)を読んだので感想を書きます。

 

1)本書の主な内容は新自由主義・TPPとデフレ対策です。帯に「橋下維新も!」と書いてありますが、橋下氏の事は最近の新自由主義推進者の具体例として出て来るだけで、ほとんど触れていません。

 

2)TPPについて、穀物自給率が30%を切っているのに、「国を開いていない」と言えるのか(三橋氏、P197)。日本の関税は自動車とテレビはゼロ。関税だけを見ればアメリカの方が国を閉じている(三橋氏、P228)。

TPP賛成派(主に橋下氏)は良く「鎖国でも良いのか」と言いますが、農業以外は関税が低いようです。自由に外国に行けるので、「鎖国」という言い方も良く分かりませんが。

 

TPPについて、条約の締結は内閣(憲法73条3号本文)の事務なので、TPP交渉参加は内閣の専権事項。衆議院の優越(憲法61条・60条2項)があるので、参議院からの抑制は効果なし。環太平洋と言ってもほとんどが日本とアメリカ。農業だけではなく、医療、保険、建設、知的 財産権なども。非関税障壁(日本の伝統・文化などの社会制度)撤廃を求められ、出来なければISD条項で損害賠償請求される。この訴訟のほとんどで何故かアメリカが勝っている。

TPPに参加すれば、日本の文化や伝統を変えさせられるという事です。TPPに賛成で保守というのは論理的にあり得ないと思うのですが。

 

3)本書の提唱する景気回復の方法は、「デフレ対策は財政政策と金融政策。政府が国債を発行それを日銀が買い取るそのお金で政府が公共投資お金を市中に流す民間需要を刺激。GDPが増える(三橋氏、P30)」です。

 

景気が良い時も公務員の給料の上がり方は知れている。景気が悪くても給料は保障。不景気時に公務員雇用の拡大は、消費者を増やしと失業者を吸収。景気対抗的、ビルト・イン・スタビライザー(中野氏、P42)。橋下徹氏は全く逆の方向です。

 

本書の結論は、日本の民主主義は他の国よりも健全。アメリカもアジアも駄目なので、日本の伝統的な方法で世界をリードするべき(三橋氏、P245)という事です。新自由主義構造改革の方向性が根本的に駄目だという事が良く分かります。

 

ただし、日本の一般国民が賢く、エリートが馬鹿だから日本に(新自由主義)構造改革は進んでいない(三橋氏、P68)、という見方はかなり疑問です。さすがに官僚は一般国民よりは「賢い」と思います。変な方向に「賢い」のかも知れませんが。

 

4)日本国をグローバル資本に売り渡す「売国奴」を嘲笑するための本です。タイトルを見た時は言い過ぎだと思いましたが、新自由主義推進者は「売国奴」と呼ばれても仕方のない事をしています。内容については強くお勧めします。ただ、保管や持ち運びに便利で値段が抑えられるので、ソフトカバーではなく新書本にして欲しかったです。

 

おわり

 

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