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2015年10月30日 (金)

「伊藤真の行政法入門」

「伊藤真の行政法入門」

 

「伊藤真の行政法入門」(伊藤真、日本評論社、1700円、2011年)を読んだので感想を書きます。

 

1)行政法という名前の法律はなく、様々な法律が集まって行政法という分野を構成しています(P3から)。そして、学ぶのは個々の法律ではなく、それらの背後にある「行政法理論」だという事です。また、様々な歴史的な理由もあり「六法」に入れてもらえなかった行政法の悲哀が「東京六大学」を例に説明されています(P8より)。

 

2)P41には「説明責任」というコラムが掲載されています。小沢一郎氏の政治資金規正法違反疑惑が問題になり、「説明責任」という事がよく言われました。説明責任は「国民の税金を使う官僚たちに、公金の使い道を説明させる」ものであり、選挙で落選させることが出来る政治家には説明責任は無いそうです。ただし、説明しないと有権者が納得せずに次の選挙で落選するという事実上の不利益を受けます。

 

3)P55から、一人一票実現訴訟について書かれています。選挙訴訟は客観訴訟であり民衆訴訟です。被告は選挙管理委員会で、選挙の日から30日以内に高等裁判所に訴訟を提起する事が出来ます(公職選挙法204条)。ここ数日(今は2013年3月の終わり頃)、各地の高等裁判所で選挙無効の判決が連続して出ており、最高裁の判決が気になる所です。

 

4)P158より、現代行政法の視点として「二面関係から三面関係へ」が説明されています。現代の行政では「行政が、ある私人に規制権限を行使することによって利益を受ける他の私人も存在するという三面構造の構図」になっているそうです。この様な事をHIVの薬害事件、ストーカー殺人事件、こんにゃくゼリーの事故などを例に説明しています。

 

これは、まさに「拡声器騒音・文化騒音」に当てはまります。つまり、行政が拡声器を使う業者に規制権限を行使することによって利益を受ける他の私人(私)も存在する、という事です。従来は行政が拡声器を使う業者の表現の自由を規制し、それが人権侵害になる可能性があるので、違法の蓋然性が高くても行政裁量という事で取り締まらない場合もあるのですが(本当は面倒くさいから取り締まらないだけ)、現代では業者の拡声器の騒音を取り締まらないことにより住民の環境権が侵害侵害されることになるのです。まあ、当たり前と言えば当たり前ですが、このような視点が示されています。この方向性を掘り下げて行くと「拡声器騒音・文化騒音」解決の糸口が見つかりそうな気もします。

 

5)まとめ

題名の通り、行政法の入門書として優れています。講義再現版なので話し口調で分かり易かったです。また、コラムも充実しており、具体例をイメージし易かったです。ただし、所々に誤植があったのが気になりました。例えば、P105の下から6行目の真ん中は「関節強制調査」ではなく「間接強制調査」でしょう。1700円とページ数の割には高めの本ですが、全体的に中身は良い本でした。お薦めです。

 

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