2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

拡声器騒音・文化騒音の本(お茶)

楽天(お茶)

  • 楽天(お茶)

« 「右翼と左翼」 | トップページ | 「雨宮処凛の闘争ダイアリー」 »

2015年12月12日 (土)

「優生学と人間社会」

「優生学と人間社会」

 

「優生学と人間社会」(米本昌平、松原洋子、ぬで島次郎、市野川容孝、講談社現代新書、2000年、740円)を読んだので感想を書きます。

 

1)第1章から第5章までの各章でイギリス・アメリカ、ドイツ、フランス、北欧、日本と優生学の歴史を見て行きます。これにより一般的には「優生学=ナチスドイツ=悪」と思われていますが、特に関係が無い事が分かります。

ニュールンベルク裁判では「ナチス断種法」の強制解除は行われず、「ナチズム=優生学」という図式は1960年代に「再発見」されたそうです(P46)。また、第2次大戦後、悪名高いナチスが葬り去られた事で、いくつかの国では本格的な科学的優生学の時代が到来したそうです(P46)。私が本書を読む前に想像していたのとはかなり違いました。

 

2)優生学と人種主義は本来別物だそうです。ユダヤ人の優生学者もいたそうです(P97)。「ナチズム=優生学」とすると、ほかの優生学が見えなくなるそうです(P240)。

 

3)また、戦争と優生学も別の問題だそうです。優生学者は「戦争は徴兵制に合格する生物学的に優秀な者が減り、劣等な者が生き残る(逆淘汰)、優秀な者を生き残らせるために戦争に反対」という考えだそうです(P75)。戦争に反対する理由も様々です。

 

4)戦後の福祉国家の方が福祉予算を抑えるために優生思想が強くなるそうです。例えば、北欧の福祉国家では、福祉を必要とする人を減らし、その分をより良い福祉を提供するために優生政策がとられたそうです(P111)。この辺りは今の日本にも当てはまりそうです。

 

5)終章では生命科学との関係が述べられます。遺伝子科学の発達による出生前診断については、優生学がどこか遠い国の昔の話ではなく、今の日本の問題であるという事です。

 

6)「優生学=ナチズム=悪」で思考停止するのではなく、正しい歴史・知識を知った上で考えるべきです。そのための入門書として、お薦めの一冊です。

« 「右翼と左翼」 | トップページ | 「雨宮処凛の闘争ダイアリー」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1401223/46232691

この記事へのトラックバック一覧です: 「優生学と人間社会」:

« 「右翼と左翼」 | トップページ | 「雨宮処凛の闘争ダイアリー」 »

ウェブページ

無料ブログはココログ